ソトー100年史 1923-2023

28 第1章 │ 創業前史と一宮整理の時代(~1923) が代表取締役常務に選任され、2人常務体制となった。 7月末には主要整理機械12台を総額5万3,438円で発 注し、以降、夏から冬にかけて縮絨機、蒸気刷毛機、水圧 光沢機、3本カレンダーなどを次々と発注していった。いず れもドイツ製の最新鋭機であった。 1923年11月3日、一宮整理は愛知県に対して工場設 置願いを提出したが、翌1924年3月3日になって愛知県 はこれを不許可とした。理由となったのは工場のばい煙が 隣接する国立の桑園を害する怖れがあるとの指摘であっ た。近くには養蚕試験場もあり、工場建設に反対する人も 少なくなかった。 一旦建築準備を止め、重役会を開催し、最終的に一宮 市内を諦め、新しい土地を探すことになった。候補地とし て起・三条方面を中心に探し、起町三条字籠屋の野府川 沿いの土地を選び、1924年6月の重役会で正式決定さ れた。田畑を中心とした約2ヘクタールの土地を10アール 当たり810円で購入した。工場の設置許可は1924年9月 26日に下りた。 工場建設地が変わったことで仮事務所も三条に移っ た。その後、役員層の確執から株式払い込みが遅れた ものの、1925年1月に完了した。なお、確執の影響から 1925年6月の株主総会で高木常務が退任し、同年12月 には長谷川社長も辞任した。 こうして当社の設立に向けた助走が終了した。

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