ソトー100年史 1923-2023

54 いた。そうしたなか、当社は同じ織物産地である栃木県へ の進出に向けて動き出した。同県の佐野市、赤見町、足利 市、隣接する群馬県館林市、藤岡市は綿やスフ織物の生 産地として知られていたが、その行き詰まりから毛織物に 方向を転換しつつあった。また、行政の奨励もあり、四幅 毛織機の増設が続いていた。にもかかわらず毛織物の染 色整理設備がきわめて少なく、織布業者ははるばる愛知 へ整理加工を出さざるを得ない状況であった。かねてから これに着目していた当社は、関東地区進出の足がかりとし てこの地での工場建設の機会を伺っていた。最終的に栃 木県および佐野市からの誘致を受け、進出を決定したの だった。 進出先となったのは、栃木県佐野市北部の秋山川に近 い堀米町の約2万坪の土地であった。買収費用は200万 円、農地調整法や離作などの調整はすべて栃木県と佐野 市が担当し、1952年4月から工事が始まった。同市の萬 町2887番地の佐野市商工会館内に建設事務所を開設 し、同年6月24日に地鎮祭を行った。 1953年1月29日に定時株主総会で佐野市の支店(佐 野工場)設置が承認され、同年2月10日、佐野工場は操 業を開始した。 第3章 │ 事業環境激変のなかでの急成長(1946~1962) 佐野工場門柱 竣工した佐野工場全景

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