ソトー100年史 1923-2023

第0章 │ □□□□□□□□□□□□□□(~0000) 107 当社側がとった策は、大和証券グループとの連携によ る逆TOBであり、これにより当社をめぐる異例の買収合 戦が始まった。 当社側は大和証券系の投資会社が友好的TOBで応 戦したうえで上場を廃止し、一時的に当社株を特別会社 に譲渡するというスキームで対抗した。しかしスティール・ パートナーズ側は買い付け価格を二度にわたって引き上げ て対抗したため、買収合戦はさらに過熱することになった。 対抗策の実施と株主への利益還元策 当社をめぐる買い付け合戦が混迷を深めるなか、当社 側は2004(平成16)年2月に、3年間で1株当たり総額 500円の利益環元を発表した。これによって買い付け価 格を大幅に上回る水準にまで株価が高騰してしまったた め、スティール・パートナーズの買い付けが進むことはな かった。敵対的TOBに応じた株主はきわめて少なく、最 終的に買い付け株数は11万5,000株と発行済み株式の 0.76%にとどまった。 こうして同社による当社へのTOBは失敗に終わったが、 当社は3年間で1株当たり総額500円の株主還元策を出 しており、これによる株価の上昇で以前から当社の大株 主であった同社は全株式を高値で売却し、大きな利益を 受け取ることになった。 2000年代に入り、わが国でも米国系投資ファンドに代 表される「モノ言う株主」の存在感が増しており、当社をめ ぐる敵対的TOB問題はそうした時代風潮を象徴する出 来事であっただけでなく、日常的に買い付け対抗策を整 備しておくべきとの教訓を残した。 第8章 │ 繊維事業をタテおよびヨコに拡大・伸長(2003 2 17

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