ソトー100年史 1923-2023

33 好況に転じた毛織物業界 1928(昭和3)年、織物業界は全体として不振が続いて いたが、毛織物は活況に転じ、羊毛工業において愛知県 下の生産額は7,000万円に達し、四幅織機は3,000台に 増えた。 この影響から当社も超繁忙を極め、作業は徹夜状態が 続いた。着尺セルの目覚ましい増産もあり、1928年上期 の第11期決算では1万5,134円の利益を上げ、優先株に 年8朱という創業以来最高の配当を行った。 3.超繁忙期から苦難の時代へ 再び赤字転落 産業界全体では不況色が強まるなか、1929(昭和4) 年11月、政府は国際競争力を高めようと金解禁の省令交 付(実施は翌年1月)を予定していたが、直前の10月24日 にニューヨークの株式市場が大暴落し、世界恐慌が発生 した。輸出は不振に陥り貿易収支は悪化し、繊維業界も 大きな打撃を受けた。毛織業界もそれなりの影響は受け たが、尾西では尾西織物同業組合が同年11月に服地生 産の1,000ヤール達成祝賀会を開催した。さらに三井物 産名古屋支店が中国向けの輸出を増やしたため、上海、 漢口で尾西毛織物の展示即売会を開き、当社の売上げも 安定していた。 1930年も産業界が不況に襲われていたものの、尾西 の毛織業界はわずかながら製造、販売とも増え、当社でも 上期で1万476円という大きな利益を上げた。 転機が訪れたのは1930年下期であった。原料の続 第2章 │ 蘇東興業の誕生と戦時下の経営(1924~1945) 当時の本社事務所 事務所の屋根に使われた菱Sマークのかわら

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