ソトー100年史 1923-2023

51 公開が提議されたが、これは将来の発展を考えると資金 調達の幅を広げるべきとの考えからであった。これに基づ いて同年5月15日、当社の株式30万株が名古屋証券取 引所に上場された。初商いの値段は74円であった。 フラノ旋風の到来 1951(昭和26)年、朝鮮戦争による特需景気と好調な 輸出に支えられて経済は活発化し、なかでも繊維産業は 異常ともいえる活況を呈し、2月に開設されたばかりの名 古屋繊維取引所でも毛糸の基準価格が20%も上昇する など羊毛相場も最高潮となった。 しかし3月になると世界経済は一転して沈滞化し、繊維 製品も急落したが、これは紡毛織物フラノの生産過剰によ る暴落、いわゆるフラノ旋風と呼ばれた。春物ばかりか夏 服服地にも大きな影響を与え、中小の毛織物業社は大き な打撃を受けた。 同年4月初旬、オーストラリア羊毛は戦後最大の暴落を みせ、8月には3月相場の半値に下落し、11月には中小の 繊維商社が次々と倒産することになった。尾西でも内外需 とも減産に陥ったが、冬には国内市場も回復し、羊毛相 場は再び高騰した。 当社は1 9 5 1年度の利益は前期の4 , 1 0 0万円から 2,800万円に落ち込んだものの、生産高は一宮工場の操 業もあり、前年より向上させた。 栗原社長の復帰 1954(昭和29)年7月、大同毛織社長の栗原勝一が当 社の社長として復帰した。栗原社長は1945年11月、当社 第3章 │ 事業環境激変のなかでの急成長(1946~1962)

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